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潘逸舟

波を止めている夢

2017

16min. 15sec.

ビデオ

潘逸舟

私たちの条件

2017年7月1日 - 8月5日


オープニングレセプション:

7月1日 (土) 18:00 - 20:00


小夏の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。この度URANOでは、7月1日から8月5日まで潘逸舟個展「私たちの条件」を開催いたします。


潘逸舟は1987年上海生まれ。9歳の時に青森に移住し、その後東京藝術大学先端芸術表現科大学院を2012年に修了、現在は東京を拠点に活動をしています。彼の表現は自らの身体や日用品を素材として、映像やインスタレーション、写真、絵画などの多種多様な形態をとります。そのいずれにも、人類が作り出した巨大なシステム(国家/社会)と、それを構築する一部分である個人の身体とが存在し、時代や場所によって様々に定義される制約=条件によって、個人のアイデンティティは揺れ動き定まらないのではないか、ということを重層的に示唆します。


近年の主な展覧会に、「アジアン・アナーキー・アライアンス」(2014年・開渡美術館、台湾)、「Whose game is it?」(2015年・ロイヤルガレッジオブアーツ、ロンドン、英国)、「In the Wake - Japanese Photographers Respond to 3/11」(2015年・ボストン美術館、マサチューセッツ / 2016年・ジャパンソサエティー、NY、米国)、「Sights and Sounds: Highlights」(2016年・ジューイッシュミュージアム、NY、米国) など。2015年にニューヨークでのアーティストインレジデンスプログラムに参加、2017年には上海MoCAパビリオンでの個展「The Drifting Thinker」を開催するなど、国内外で注目を集める若手作家です。


前回の個展「As far as I know」において、スクリーンの両面にそれぞれプロジェクションを行なう映像インスタレーション「ミュージカル・チェアズ」が発表されました。長崎県の対馬にある、干潮時にしか現れない陸地で、片面では5人の男が大きい石を椅子に見立てた椅子取りゲームを行う様子、もう片面では陸地の沈んだ満潮時の海面がそれぞれ映し出されるという作品です。対馬の領土問題を土台としながらも、ゲームの勝者ですら画面から消えて最後には誰もいない陸地が映り、やがてその陸地も消えていくというモノクロ映像は、特定の政治的メッセージというよりもむしろ「領土」といった極めて人工的な定義を越えた、自然や幽玄のような存在を鑑賞者に実感させる、近年の代表作です。


今回の個展では、6×2mという巨大スクリーンを使用した、雪原の誰のものともわからない足跡を辿る映像作品を中心に、教科書の文字・写真が印刷されていない余白の部分をちぎり取ってキャンバスに貼りつけた新作の平面作品「余白」、ボストン美術館を始めアメリカ国内を巡回した展示「In the Wake - Japanese Photographers Respond to 3/11」への出品作品「Life Scan Fukushima」など約10点を展示いたします。それら出品作には執拗な同じ行為の反復によって作られているものも多くあり、最新作映像の「波を止めている夢」で潘は、警備員の扮装をして波を止め続けるパフォーマンスを行っています。日々の生活は所詮同じことの繰り返しであるし、大概が不毛であるといったような諦観も伺えますが、その姿勢は決して後ろ向きではなく、疑問や矛盾に対して立ち向かい続ける、作家自身の在り方を表しているとも言えます。潘の時にユーモラスでありながらも真摯な表現は、たくましくしなやかな想像力と、モノクロ調の美しい世界観によって、私たちがいま一体どこに立っていて、どこへ向かっているのか、また「私たち」を定義付けている条件とは何なのかを問いかけ続けます。


つきましては、本展の広報にご協力賜わりたく、ここにご案内申し上げます。