Past Exhibitions

新井卓、石内都、河口龍夫、高嶺格、東松照明、潘逸舟、山田周平

2016年11月26日 (土) - 2017年1月7日 (土)

オープニングレセプション: 11月26日 (土) 18:00 - 20:00

休廊日: 日曜、月曜、祝祭日、12/25 - 1/4


協力: AISHO MIURA ARTS, Misa Shin Gallery, PGI, SNOW Contemporary, The Third Gallery Aya

キュレーション: 島林秀行


URANOでは、2016年11月26日から2017年1月7日まで、核(原爆・原発)をテーマにしたグループ展<Unclear nuclear>を開催いたします。


本展では、コレクター・島林秀行氏のキュレーションのもと、新井卓、石内都、河口龍夫、高嶺格、東松照明、潘逸舟、山田周平の7名による作品を展示します。国際的な評価を得ている芸術家から20代の若手まで、異なる世代が参加し、写真、映像、平面、立体と形式もさまざまですが、いずれの作品においても核のテーマが通奏低音として響いています。日本は、広島、長崎、福島をはじめとする核の惨事を経験し、多くの作家がそれらに関わる作品を制作してきましたが、原爆から原発事故までを主題化した本格的なグループ展は、国内においてこれまで開かれていません。


本展は、1945年の広島・長崎における原爆、2011年の福島における原発事故以降の状況という、70年以上にわたる時間・空間の隔たりをギャラリーのスペースに交錯させ、併置させるものであり、芸術を通して核や戦後日本の歴史と対峙させる試みとも言えます。優れた芸術家による世代を超えた感覚と思考が空間に響き合うにとどまらず、芸術と社会の関わりという観点からも重要な展示となることでしょう。


- 展示作家


新井卓(1978年神奈川県生まれ)

世界最初の写真技法であるダゲレオタイプを独学で習得した、日本で唯一のダゲレオタイピスト。ボストン美術館、森美術館、東京国立近代美術館ほか、国内外の展覧会に多数参加。2014年に英国ソースコード・プライズ、2016年に木村伊兵衛賞及び日本写真協会新人賞を受賞。ボストン美術館、サンフランシスコ近代美術館、東京都写真美術館、ギメ美術館に作品収蔵。本展では、240枚のダゲレオタイプで構成した大作の広島の原爆ドームや、長崎のタンポポなどを展示。


石内都(1947年群馬県生まれ)

日本を代表する写真家。1979年に木村伊兵衛賞受賞、2005年にヴェネチア・ビエンナーレ日本代表選出、2014年にハッセルブラッド国際写真賞受賞。本展では、2007年から続く、原爆で亡くなった人々の遺品を撮影した「ひろしま」のシリーズを展示。アメリカでは、2015年のポール・ゲティ美術館での大規模な個展で「ひろしま」が美術館としては初公開され、大きな反響を呼んだ。


河口龍夫(1940年兵庫県生まれ)

日本の現代美術を代表する作家。1970年の東京ビエンナーレ「人間と物質」、1989年のポンピドゥーセンターでの「大地の魔術師たち」など美術史上の重要な展示のほか、国内外の展覧会に多数参加。物と物との関係や、時間に関する鋭敏な感覚を生かした制作を行う。本展では、原爆から50年後の広島のタンポポ(綿毛)を鉛で閉じ込めた作品や、福島の原発事故後に制作した新作を展示。


高嶺格(1968年鹿児島生まれ)

90年代のダムタイプ参加を含め、パフォーマンス、映像制作、演出家など多彩な活動を展開。社会システムや集団意識による潜在的な抑圧や支配を、批評的かつアイロニカルに可視化する。ヴェネチア・ビエンナーレ、釜山ビエンナーレ、横浜トリエンナーレなどの国際展に数多く参加、横浜美術館、広島市現代美術館、水戸芸術館などで個展開催。2014年にはHAUHebbelamUfer(ベルリン)にて、日本特集「Japan Syndrome - Art and Politics after Fukushima」に参加した。本展では、2011年の東日本大震災による原発事故後、変化する日本の社会状況や人々の認識を継続的に捉え、集合的に形成されていく意識や社会的圧力に個がどう抗うか、演劇、映像、パブリックイベントなど様々な形態によって投げかけた「ジャパン・シンドローム」シリーズを展示。


東松照明(1930年愛知県生まれ、2012年没)

戦後日本の写真界を牽引する役割を果たした日本を代表する写真家。1959年に奈良原一高、細江英公らとセルフエージェンシー「VIVO」を設立。国内及び欧米の主要美術館での個展多数。長崎は50年間にわたって撮影され続けた。2012年逝去。本展では、1961年に土門拳らと広島・長崎の被爆者・被爆遺構を取材した際に撮影し、その後、写真集『<11時02分>NGASAKI』に収められたイメージを展示。


潘逸舟(1987年上海生まれ)

中国と日本にルーツを持つ注目の若手アーティスト。共同体における信用と権力の表象である通貨の最小単位をもとにイメージを構成するシリーズなど、共同体やナショナリズムに関わる作品を制作。2015年にボストン美術館、2016年にNYのジャパンソサエティ、ジューイッシュ・ミュージアムで展示。2017年のアート・バーゼル香港に出品予定。本展では米軍が撮影した原爆雲の写真をもとにした新作を展示。


山田周平(1974年滋賀県生まれ)

権力や社会状況に対する考察を通じ、写真、映像、立体、インスタレーションと様々な制作活動を展開。2003年に写真新世紀優秀賞受賞。国内にとどまらず、香港やヴェトナムなど海外でも精力的に展示を行う。本展では、原爆を投下したエノラゲイ、ボックスカーの記録映像をもとにした作品を展示。本作品は、アンディ・ウォーホール美術館長の推薦により、2013年のアーモリーショー(NY)のフォーカス部門に出展して注目を集めた「Simulated sky」のシリーズ作となる。

  • 新井 卓「原爆ドームのための多焦点モニュメント、マケット」

    2014年 / image: h.66.0 × w.152.0 cm, framed: h.80.6 × w.172.7 cm / 銀板写真 / Courtesy of PGI
  • 新井 卓「2014年3月16日の太陽とタンポポの陽画, 長崎市金比羅山公園」

    2014年 / image: h.11.9 × w.16.5 cm, framed: h.54.8 × w.44.6 × d.4.4 / 銀板写真 / Courtesy of PGI
  • 「ひろしま#71」

    石内 都「ひろしま #71」

    2007年 / image: h.154 × w.100 cm, framed: h.164.5 × w.110.5cm / タイプ Cプリント / Courtesy of The artist and The Third Gallery Aya
  • 河口 龍夫「関係ー植物 HIROSHIMAのたんぽぽ 1995-13」

    1995年 / h.30.0 × w.20.0 × d.1.0 cm / 鉛、HIROSHIMAのたんぽぽ、パネル / Courtesy of SNOW Contemporary
  • 高嶺 格「ジャパン・シンドローム~水戸編」

    2012年 / 48min. 28sec. / Full HD ビデオ / 撮影: 松本美枝子
  • 05

    潘 逸舟「ポップコーンを食べる」

    2016年 / 11min. 45sec. loop / 2 チャンネルビデオ
  • 12

    山田 周平「Simulated sky (without Enola Gay)」

    2013年 / 10 sec. loop / ビデオ / Courtesy of AISHO MIURA ARTS
  • 13

    山田 周平「原発保険」

    2016年 / h.142.0 × w.27.0 × d.43 cm / オフセット印刷、パンフレットラック / Courtesy of AISHO MIURA ARTS
  • 02

    「Unclear nuclear」展示風景

    Photo by Keizo Kioku
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    「Unclear nuclear」展示風景

    Photo by Keizo Kioku
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    「Unclear nuclear」展示風景

    Photo by Keizo Kioku
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    「Unclear nuclear」展示風景

    Photo by Keizo Kioku
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    「Unclear nuclear」展示風景

    Photo by Keizo Kioku