2017年5月20日 (土) - 6月17日 (土)

日曜、月曜、祝日休廊

オープニングレセプション:

5月20日 (土) 18:00 - 20:00

クロージングトーク:

衣川明子 × 保坂健二朗 （東京国立近代美術館 主任研究員）

6月17日 (土) 19:30 -

新緑の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。この度URANOでは、5月20日から6月17日まで衣川明子個展「糞して寝ようか」を開催いたします。

衣川は2012年に武蔵野大学大学院を修了後、同年にgallery αMでの「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう Vol.6 衣川明子」(キュレーター：保坂健二朗・東京都国立近代美術館主任研究員)、「東京五美術大学連合卒業・修了制作展」(国立新美術館)、その後「VOCA 展2015 - 推薦者：森千花・東京都現代美術館学芸員」(2015年)、「Unusualness Makes Sense - Alternative Art Practices by Thaiand Japanese Artists」(2016年・チェンマイ大学アートセンター, Gallery SeeScape, チェンマイ) に参加するなど、今後益々の活躍が期待されている若手作家です。

腹の中に何かいる感じがする。顔面に何か付いている感じがする。ずっとしている。

見えないけれど感じるそれを否定しても無視しても、ずっとそこに張り付いて、主張してくる。

ならもう愛してしまうしかないのでは。

むしろ、初めから愛していたからそこにいて、自分がそれを愛している事を受け入れるしか道は無いのではないか。

否定は存在するけれど、否定で絵は描けない。

多分、全てのものに、1番の願いや良い方向というものは存在していて、私達人間はそれを見ないように・見せないようにして暮らしている。それを否定している自分を正当化したくて他の何かも否定する。今の私達に張り付いているものが、糞だろうが愛だろうが、それが隠し持っている願いを願うことを許すところからしか、良い方向には行けない気がする。

衣川明子

展覧会タイトルの「糞して寝ようか」には、あらゆるもの (人、動物や社会全体) に対しての衣川の愛情と願いが込められています。肉体を持って生まれたからには生命を維持するということが大前提にあり、生理現象を順番通りにこなして自然に過ごすというのは至極当然のことなのですが、無意識に行われる肉体的な働きの他に、精神の面においても必要な消化作業があります。例えば自身の受けた心の傷の存在を受け入れ認めれば、他人に同じことを繰り返す悪循環を断ち切るきっかけとなるといったことです。

今まで相手に糞して寝ろと言い合っていた２人が、お互い自分の糞をして、一緒に寝て休んだら、次の日はもっといい方向に行けるのでは。現代社会の中で度々遭遇する深刻な事態において、八方塞がりに感じられる状況でこそ、改めてこの言葉を投げかけたいと衣川は言います。

衣川はこれまで、他者 (人・動物・物) と自分との関わりを持った際に生じる様々な不可解なことを、こちらを見つめているアノニマスな人もしくは動物として絵に描き起こしてきましたが、今回は自身の家族をモデルとして描くなど、衣川の内面に存在する思いをより深化させた新作を発表いたします。キャンバスに絵の具が薄く擦り付けられた、独特な生々しさのある衣川作品の特徴は健在ながらも、奇妙な心象風景の反映された画面は、見る者により鮮烈な印象を残します。

つきましては、本展の広報にご協力賜りたく、ここにご案内申し上げます。