Past Exhibitions

渡辺豪

ディスロケーション

2018年3月3日 - 4月7日

オープニングレセプション: 3月3日 (土) 18:00 - 20:00


協力: Jm logo wide


向春の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。この度、URANO では、3月3日から4月7日まで渡辺豪個展「ディスロケーション」を開催いたします。


渡辺豪 (1975年兵庫県生まれ) は、愛知県立芸術大学で油絵を学びました。2002年からは一貫してデジタル技術を駆使し、人の顔や身の回りの食器や本、部屋などの身近なモチーフを 3DCG を用いてモデリングし、その表面に実際の写真を貼り付けた写真作品や映像作品を制作しています。近年の主な活動として、「コズミック・トラベラーズ - 未知への旅」(2012年、エスパス ルイ・ヴィトン東京)、「カルペ・ディエム 花として今日を生きる」(2012年、豊田市美術館)、「あいちトリエンナーレ 2013」にてそれぞれ新作アニメーションを発表し、2013年に第24回五島記念文化賞美術部門新人賞を受賞後、約1年間フィンランドでの海外研修を経験しました。その後も、The APB Foundation Signature Art Prize 2014のファイナリストに選出、シンガポール美術館で作品が展示され、スイス、ポーランド、ドイツを巡回したグループ展「ロジカル・エモーション - 日本現代美術」に参加するなど、国内外を問わない活躍をみせています。


本展は、昨年、五島記念文化賞美術新人賞研修帰国記念展として開催された、横浜市民ギャラリーあざみ野での個展を再構成し、渡辺の作品史上最大規模の映像インスタレーションを中心に展示いたします。近年、認識における主観性と客観性、時間や場所によって移ろう〈光〉に焦点を当てて制作を続けていた渡辺は、研修先のフィンランドで、高緯度地域特有の、夏期に陽が沈まない〈白夜〉、冬期に陽がほとんど昇らなくなる〈極夜〉などの現象を体験しました。日本の通年変化のないフラットな光とは異なる未知の体験から、身体的、知覚的な〈ズレ〉をこれまで以上に強く感知した渡辺は、文字通り「ディスロケーション/dislocation(ずれること;脱臼、転位、断層などの意味を持つ)」を着想し本作が完成しました。


渡辺による精緻な映像の動きは極めて緩慢ですが、時間をかけて注視すると少しずつ変化する画面は、穏やかながらも危うい日常を再現しているかのようです。架空の日常風景がリアルな様相を帯びることで、誰のものでもない、あるいは誰のものでもある風景へと転位し、目の前に広がる現実が、それを享受する人の認識によって変現するものであることを私たちに知らしめます。仮想の風景が強いリアリティをもって迫る渡辺豪の世界を是非ご堪能ください。


つきましては、本展の広報にご協力賜りたく、ここにご案内申し上げます。

  • M5A5

    M5A5 (※部分画像)

    2017 / ビデオインスタレーション (マルチチャンネル) / 48min / © Go Watanabe, Courtesy of URANO
  • 無題

    無題

    2017年 / h.60.0 × w.90.0 cm / 発色現像方式印画
  • where a landscape emerges

    where a landscape emerges

    2017年 / h.84.0 × w.182.6 cm / 発色現像方式印画
  • 日々の生活

    日々の生活

    2017年 / h.41.8 × w.27.9 cm / 発色現像方式印画
  • 「ディスロケーション」展示風景

    「ディスロケーション」展示風景

    2018年 / URANO、東京
  • 「ディスロケーション」展示風景

    「ディスロケーション」展示風景

    2018年 / URANO、東京
  • 「ディスロケーション」展示風景

    「ディスロケーション」展示風景

    2018年 / URANO、東京