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共同体について
出展者: 松浦寿夫、フナイタケヒコ、安藤裕美、梅津庸一、ユ、六萠、大野陽生、渋家分離派
企画: 梅津庸一
2018年4月21日 - 5月26日
オープニングレセプション: 4月21日 (土) 18:00 - 20:00
<シンポジウム>
「共同体について」
5月12日 (土) 17:00 - 20:00
登壇者: 松浦寿夫、梅津庸一、掘浩哉、横山由季子 (金沢21世紀美術館)
会場: URANO、東京
陽春の候、皆様におかれましては益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。この度、URANO では、4月21日から5月26日まで梅津庸一キュレーション展「共同体について」を開催いたします。
梅津庸一 (1982年山形県生まれ) は、ラファエル・コランや黒田清輝、フェルディナント・ホドラーやポール・ゴーギャンなどの近代絵画に自らを代入した自画像などを通して、近代美術史とその末尾に位置する自分自身の関係を探求し続けています。2014年からは私塾「パープルーム予備校」を立ち上げ、美術と教育、共同体の在り方について実践を通して批評考察を深めてきました。また、今年3月に開催された Art Basel Hong Kong 2018では、複数の様々な歴史の断片を召喚し、考察、検証するためのラボをイメージした空間を展開し、注目を集めました。今回のグループ展ではその活動の一環として、幅広い年代の作家とそれぞれが引き連れてくる文脈、つまりはすでにこの世にいない過去の人物・事象をも巻き込んだ、多次元的な共同体の提案を行います。
共同体について
梅津庸一
わたしたちは散り散りに世界にいるわけではなくて、果物で言えば葡萄の房のようにコミュニティをつくり暮らしている。国家、街、学校、会社、SNS、家族、、、など大小さまざまな集団に幾重にも属している。
もちろん、美術/アートも例外ではなくそれ全体がひとつの共同体とも言える。その中にたくさんの集団がひしめき合っている。その大半は潜在的な共同体であり意識的に生まれたわけではない。例えば、パープルームは民家を学校として半共同生活を営むいわば疑似家族のような美術家集団であり、渋家は2008年に渋谷に誕生した大人数のシェアハウスである。19世紀末フランスのパリで活動したナビ派はポール・ランソンの家を「神殿」と呼びボナールやドニをはじめとする作家たちが集う秘密結社的な場であった。他にも印象派、フォーヴ、ダダ、実験工房、具体、もの派、美共闘など枚挙にいとまがない。これらは意識的に生まれた共同体であり、いつの時代もすでにあるインフラや環境と個の間の緩衝材、スペースとして表現の発生と深く関わってきた。
グループ展という形式は期間限定の集合体である。通常、グループ展とは友人同士であったり、主義主張を同じくする者たちによって組織されることが多い。しかし本展はそういう趣旨で開催されるわけではない。だからと言って、なんとなく集められたわけでも、表現の多様性を示したいわけでもない。それぞれの出展者たちが拠って立つ文脈や引き連れてくるものたちが絡み合ったり断絶したりすることによって現れる切断面にどのような融和や不和が認められるのだろうか。そして一番重要なのは、いまここにはいない他者、とりわけ死者や亡霊たちと天体的関係を結ぶことである。本展では実際に出展作家と死者たちのつながりがわかりやすく図解されているわけではない。美術に於ける共同体は作家同士の連帯のみを指すのではなく異なる幾つかのものを紐づける鑑賞者の眼がつくるものでもある。そして、それは作家という固有名の仕切りをも解体し横断するだろう。
<出展者>
- 松浦寿夫 (1954年東京都生まれ)
画家でありフランスの美術史の専門家でもある。一貫して絵画の光学的な側面や絵画空間の持つ厚みについて正面から取り組み続けている。本展ではシンポジウムにも参加する。
- フナイタケヒコ (1942年鳥取県生まれ)
60年代後半から鳥取で「スペースプラン」という前衛美術家集団に所属し活動していた。現在も鳥取で精力的に画家として活動している。独自のフォーマリスム絵画のシリーズを展開し美術史の複数性を体現している。
- 安藤裕美 (1994年東京都生まれ)
パープルーム予備校一期生。19世紀末のフランスの前衛絵画集団ナビ派に深く傾倒している。本展ではパープルームの日常をナビ派に重ねあわせて描いたアニメーション作品を出展。
- 梅津庸一 (1982年山形県生まれ)
美術家、パープルーム主宰。本展では梅津が高尾山で行ったパフォーマンスの映像作品と、ゴーギャンの『マナオ・トゥパパウ (死霊が見ている)』を下敷きにパープルーム予備校生の安藤裕美を描いた作品などを出展する。本展の企画者。
- ユ、六萠 (1999年広島県生まれ)
京都に住む19歳の学生。ネットを通じて多くの人が共有するキャラクター絵画などの文法を踏襲している。たとえば帝国水素やク渦群などのキャラクター絵画第三世代をベースにそれをドロドロのペースト状にしたような作品。何周もまわって作品のビジュアルは50年代の抽象表現主義に接近している。
- 大野陽生 (1992年埼玉県生まれ)
大谷石、粉末パテ、木材でつくられるヒト型の彫刻は、近代よりももっと前の感受性とつながっているようである。
- 渋家分離派 (2018年発足)
渋家は2008年に齋藤恵汰によって生み出された大人数によるシェアハウスであり、上妻世海や〈Maltine Records〉を主宰する tomad など様々な人々が関わってきた。そんな渋家で活動する若者がパープルームが開催した「ゲルゲル祭」という民家で行われた展覧会を訪れたことをきっかけに結成した、渋家の派生ユニット。
梅津庸一「高尾山にジャムを塗る、セカンドオピニオン」
2018年 / 4 min. 27 sec. / ビデオ梅津庸一「Student」
2018年 / h.111.5 x w.191.0 cm / パネルに油彩 / 撮影: 村田冬実梅津庸一「ある晴れた日」
2018年 / h.30.1 x w.22.1 x d.1.9 cm / パネルに油彩 / 撮影: 村田冬実梅津庸一「不詳 (ペースト状の光と塵)」
2018年 / h.48.5 x w.45.5 cm / 板にインク、アクリル、油彩 / 撮影: 村田冬実梅津庸一「不詳 (覗き見と装飾)」
2018年 / h.21.5 x w.15.9 cm / 板にインク、アクリル、油彩 / 撮影: 村田冬実梅津庸一「不詳 (書き割り)」
2018年 / h.15.1 x w.15.5 cm / 板にインク、アクリル、油彩 / 撮影: 村田冬実梅津庸一「不詳 (象徴らしきもの)」
2018年 / h.21.5 x w.12.6 cm / 板にインク、アクリル、油彩 / 撮影: 村田冬実梅津庸一「不詳 (庭いじり)」
2018年 / h.17.5 x w.14.7 cm / 板にインク、アクリル、油彩 / 撮影: 村田冬実梅津庸一「不詳 (ハンス・ホフマン風のタイル)」
2018年 / h.14.7 x w.14.7 cm / 板にインク、アクリル、油彩 / 撮影: 村田冬実梅津庸一「不詳 (襞のある入り江)」
2018年 / h.18.0 x w.17.0 cm / 板にインク、アクリル、油彩 / 撮影: 村田冬実梅津庸一「不詳 (山田正亮っぽい色の角)」
2018年 / h.14.5 x w.13.6 cm / 板にインク、アクリル、油彩 / 撮影: 村田冬実梅津庸一「不詳 (錯覚のコンポジション)」
2018年 / h.16.0 x w.15.6 cm / 板にインク、アクリル、油彩 / 撮影: 村田冬実梅津庸一「不詳 (魔除けグッズ)」
2018年 / h.21.9 x w.14.2 cm / 板にインク、アクリル、油彩 / 撮影: 村田冬実松浦寿夫「同じ、異なった葉」
2018年 / h.72.5 x w.181.5 cm / 綿布に紙、アクリル、パステルフナイタケヒコ「スペースプラン 5回展」展示風景
1970年 / 鳥取安藤裕美「画家たちのアトリエ」
2018年 / 2 min. 45 sec. / ビデオユ、六萠「ベビーチーズ」
2018年 / 板に油彩大野陽生「静物 IV」
2017年渋家分離派
2018年「共同体について」展示風景
2018年 / URANO、東京 / 撮影: 村田冬実「共同体について」展示風景
2018年 / URANO、東京 / 撮影: 村田冬実「共同体について」展示風景
2018年 / URANO、東京 / 撮影: 村田冬実「共同体について」展示風景
2018年 / URANO、東京 / 撮影: 村田冬実「共同体について」展示風景
2018年 / URANO、東京 / 撮影: 村田冬実